弟が「因数分解を教えてほしい」と懇願して寝てしまった。次の日は出かけてしまう(基本情報技術者試験。勉強してないので受からん)。せっかくなのでWebページで解説してしまおうかと思った次第。弟は俺に感謝しろ、マジで。弟のノートを盗み見て、彼が解き方を理解していないであろう問題を解説する。
数式を挿入するためにWordPressプラグイン「Mathjax Latex」を導入。LateX記法も勉強できるし一石二鳥だね!
因数分解
$$a^3b + 16 – 4ab – 4a^2$$ を因数分解するよ。
そのまえに
因数分解とはその名の通り、式を因数に分解する操作のことだよ。そんなもんすっとばしたかったら本編へ
因数?
因数分解の操作ができる中学生はたくさんいるだろうけど、その意味を説明出来る人は少ないんじゃない?(俺の思い込みで、実はめちゃくちゃいるかもしれない)
まずは因数とは何か?辞書によるとこう定義されている。
一つの数や整式が、いくつかの数や整式の積の形で表されるときの、その個々の数や整式のこと。因子。
出典:デジタル大辞泉
一つひとつ読み解いていくぞ。
数とは
$$ 1 $$ とか $$ 310 $$ とか。(数の定義まで遡ってもいいけど、流石に面倒なので割愛)
整式とは
分母や根号の中に文字が含まれていない代数式。単項式と多項式とがある。
出典:デジタル大辞泉
らしい。代数式は、いわゆる数式のことと思っていい。$$ 1 + 1 $$ とか $$ 2 \times 3 $$ とか。
整式は数式の特別な場合のことで、その特別な場合とは、_分母や根号の中に文字が含まれていない_場合を指す。注意したいのは、たとえ文字が含まれていたとしても、それが分母や根号の外だったら、それは整式であるといえるよ。
例を挙げると、
$$ \frac{2a}{3} $$ は整式だけど、
$$ \frac{2}{3a} $$ は整式じゃない。分母に文字が含まれているから。
さて、一旦戻ろう。先の因数の定義を再掲。
一つの数や整式が、いくつかの数や整式の積の形で表されるときの、その個々の数や整式のこと。因子。
出典:デジタル大辞泉
上で説明した数や整式が、いくつかの数や整式の積の形で表されるとき、つまり
$$ \frac{2a}{3} \times (2 + 3) $$のようなときの、その個々の数や整式のこと。ということは、このときの因数は
$$ \frac{2a}{3} $$ と $$ (2 + 3) $$ の2つに分けられるということだ。
以上が因数の説明だよ。本編に戻ろう。
本編
まずは式全体を眺めてみよう。
$$ a^3b + 16 – 4ab – 4a^2 $$
この式に登場する文字は a と b だ。式の操作はいろいろできて、例えば
$$ a(a^2b-4a-4b) + 16 $$
のように a で括ってみる。カッコの中身が因数分解できそうな形だけど、出来ませ~ん。+16 とかいうゴミがあるし・・・。これはダメそう。じゃあ +16 をなんとかしようと、元の式を次の形にしてみる。
$$ a^3b + 4(4-ab-a^2) $$
「4でくくれるじゃん、俺天才~」とか思うのも束の間、やっぱりカッコの中は因数分解できないし、 ゴミ( a^3b )が付く。
このように式の操作のパターンはたくさんあり、その中から正しい道を見つけるのが非常に難しい。
テクニック
こういうとき、いくつかのテクニックがある。式を並び替えるのだ。
指数順に並べてみる
$$ \begin{eqnarray} & &a^3b + 16 – 4ab – 4a^2 \\ &= &a^3b – 4a^2 – 4ab + 16 \end{eqnarray} $$
これは最も良く使うテクニック。だが今回の場合は有効に使うことが出来ない。
使われている文字の種類数で並べる
指数順に並べてダメだったとき、次にこのテクニックを適用してみよう。
$$ \begin{eqnarray} & &a^3b + 16 – 4ab – 4a^2 \\ &= &a^3b – 4ab – 4a^2 + 16 \end{eqnarray} $$
この形まで持っていけたら、何か見えてくるものがあると思う。
$$ \color{red}{(a^3b – 4ab)} – \color{blue}{(4a^2 + 16)} $$
と分ければ、左のカッコ内は
$$ \begin{eqnarray} & &\color{red}{a^3b – 4ab} \\ &= &\color{red}{ab(a^2 – 4)}\\ &= &\color{red}{ab(a+2)(a-2)} \end{eqnarray} $$
右のカッコ内は
$$ \begin{eqnarray} & &\color{blue}{4a^2 – 16} \\ &= &\color{blue}{4(a^2 – 4)} \\ &= &\color{blue}{4(a+2)(a-2)} \end{eqnarray} $$
以上より、
$$ \begin{eqnarray} && \color{red}{a^3b – 4ab} ,-, \color{blue}{4a^2 + 16} \\ &= &\color{red}{ab(a+2)(a-2)} ,- , \color{blue}{4(a+2)(a-2)} \end{eqnarray} $$
さらに、(a+2)(a-2)が共通項として現れているので
$$ \begin{eqnarray} &&ab\color{green}{(a+2)(a-2)} ,-, 4\color{green}{(a+2)(a-2)} \\ &= &(ab-4)\color{green}{(a+2)(a-2)} \end{eqnarray} $$
よって
$$ \begin{eqnarray} &&a^3b+16-4ab-4a^2 \\ &= &(ab-4)(a+2)(a-2) \end{eqnarray} $$
以上。